地震保険の必要性とは?補償内容や選び方のポイントを専門家が解説

地震保険の必要性とは?補償内容や選び方のポイントを専門家が解説
日本は世界有数の地震大国ですが、地震保険の世帯加入率は約35%にとどまっています(損害保険料率算出機構調べ)。「保険料が高い」「必要性を感じない」といった理由が背景にありますが、災害後に未加入を後悔するケースも少なくありません。この記事では、地震保険の仕組みや補償内容、必要性をわかりやすく解説します。
目次

地震保険とは?

地震保険は、地震や噴火、津波による損害を補償する保険です。火災保険だけでは地震による損害は対象外のため、火災保険にセットして加入します。補償対象は建物と家財で、保険金額は火災保険の50%が上限です。地震保険は生活再建のための資金を確保する目的で設計されており、全損(建物の場合、主要構造部の損害額が時価の50%以上となる場合など)時でも再築・再取得費用の全額はカバーできませんが、被災後の当面の生活費や修理費を支える重要な保険です。地震リスクが高い日本では、加入を検討する価値があります。

地震保険の基本的な仕組みと主な特徴

地震保険の基本的な仕組みや火災保険との違いをわかりやすく解説します。

① 政府と民間保険会社の共同運営

地震保険は、「地震保険に関する法律」に基づいて、政府と民間の損害保険会社が共同で運営している制度です。
損害保険会社から地震保険に加入する場合、地震保険の保険金額は火災保険の保険金額に対し最大で50%までとなっているのは、この制度に基づいています。

② 被災者の生活の安定に寄与することが目的

地震保険金額が最大50%までという制度が示すとおり、地震保険だけでは物件の再築・再取得はできません。
地震保険は、あくまで地震による被災者の生活再建費用の支払いを目的としています。

③ 保険料は各社共通

地震保険料は、各保険会社共通で差が生じません。
「建物の構造」と「都道府県」別に、一律で保険料率が決まっています。なお、地震保険の割引の条件も各社共通となります。

④ 保険料は準備金として積み立てられる

支払われた保険料に利潤は含まれず、制度運営に必要な費用を除いた金額はすべて、将来の地震災害へ備えるための「責任準備金」として積み立てられています。

⑤ 地震保険単体の契約は不可

「地震保険」という名称ですが、単体での契約はできません。
民間損害保険会社が提供している、住まいの火災保険にセットして加入する必要があります。

⑥ 居住用建物またはその建物に収容されている家財が対象

地震保険の対象となる建物は「居住用建物」に限ります。
事務所や店舗、工場など居住用部分がない物件は地震保険の加入ができません。
事務所や店舗、工場における地震災害への備えについては、「地震拡張担保特約」といった、各損害保険会社独自の引き受け条件に基づく補償を検討する必要があります。

地震保険と火災保険との違い

住宅用火災保険、地震保険ともに保険の対象は主に財産である「建物」、「家財」ですが、補償範囲や保険金支払いの目的が異なります。

  火災保険 地震保険
補償範囲 「火災リスク」、「風災リスク」、「水災リスク」、「盗難・水濡れ等の日常災害リスク」等 地震、噴火またはこれらによる津波を原因とする損害(火災・損壊・埋没・流失)
なお、地震を原因とする火災の場合は、火災保険では「免責(補償対象外)」となり、地震保険での補償となるため、火災保険と地震保険で補償が重複することはありません。
また、前述「6つの特徴」のとおり、火災保険と地震保険では根本的な考え方が異なります。
目的 保険の対象である建物、家財の再築、再取得が目的 被災者の生活再建が目的

上記のとおり、目的が異なるため、保険金の支払われ方も異なります。

火災保険の場合、「実損払」方式が一般的で、保険金額を上限として、実際にかかった再築・再取得費用または修理費用が保険金として支払われます。一方、地震保険の場合は、以下のような損害の割合に応じた「定率払」方式(時価額が限度)となっています。

  • 全損:地震保険金額の100%
  • 大半損:地震保険金額の60%
  • 小半損:地震保険金額の30%
  • 一部損:地震保険金額の5%

地震保険は、被災者の生活再建を目的としているため、その被災の度合いに応じた保険金が支払われることとなります。

地震保険の加入率が低い理由

加入率約35%の実態

日本の地震保険加入率は世帯ベースで約35%です(損害保険料率算出機構「地震保険世帯加入率」より)。地震大国であるにも関わらず、なぜ加入率が低いのでしょうか?

損害保険料率算出機構の「消費者の地震危険意識と住居建物属性の調査」によると、未加入の理由として以下の項目があげられていました。

1. 保険料が高い:最も多い理由であり、費用負担が加入をためらう要因になっています。

2. 必要性を感じない:調査では地震リスクを低く見積もる人もいました。

3. 補償額が十分でない:火災保険の半額までしか補償されないため、再築・再取得費用に不安を感じる声も。

4. 制度や仕組みがわかりにくい:補償内容や支払い条件がわかりにくいことも加入の妨げになっているようです。

このように、地震保険の加入率が低い背景には、費用負担や補償内容への不安、制度のわかりにくさなど複数の要因があります。地震リスクが高い日本では、こうした課題を理解したうえで、自分に必要な補償を見極めることが重要です。

地震保険に加入するメリット

地震保険に加入することで得られるメリットは、単なる補償にとどまりません。災害後の生活を立て直すための資金を確保できることは、安心感につながる大きなポイントです。まずは、地震保険がどのように生活再建を支えるのかを見ていきましょう。

生活再建資金を確保できる

地震保険の最大のメリットは、被災後の生活再建資金を確保できることです。生活費は被災後も必要で、住宅ローンが残っている場合や仮住まいの費用、衣服や食料の調達などに役立ちます。火災保険金額の100%は受け取れませんが、保険金は定率で決まっており、損害調査員の認定後に迅速に支払われます。

日本の地震リスクの高さに備えられる

  • 南海トラフ地震:今後30年以内に60~90%程度以上の確率で発生
  • 首都直下地震:今後30年以内に70%の確率で発生
  • 活断層型地震:全国どこでも発生リスクあり

これらは政府の地震調査委員会が公表しているデータです(参照先:「南海トラフの地震活動の長期評価」を一部改訂しました | 地震本部地震災害 : 防災情報のページ - 内閣府)。

政府のデータが示すように、日本では今後30年以内に大規模地震が発生する可能性が非常に高いとされています。南海トラフや首都直下地震だけでなく、全国どこでも活断層型地震のリスクがあります。こうした現実を踏まえ、日頃から備えることが安心につながります。

公的支援だけでは不十分

地震で住宅が全壊した場合、公的支援は最大300万円ですが(参照先:公的支援制度について : 防災情報のページ - 内閣府)、この金額では住宅再築は難しく、当座の生活費にも十分とはいえません。過去の災害では仮設住宅や炊き出しなどの支援がありましたが、災害規模や余震の影響で迅速な提供が難しい場合もあります。自分の生活を守るためにも、地震保険を検討する価値があります。

住宅ローンが残っている場合は特に重要

住宅ローンが残っている方が被災し、自宅に住めなくなると、仮住まい費用とローン返済が重なる問題が発生します。地震保険の保険金は使途の制限がないため、ローン返済や仮住まい費用に充てることができます。

マンションにおける地震保険加入のメリット

高層マンションや免震構造の建物は耐震性能が高いものの、揺れによる家財損壊リスクは残ります。家財が使えなくなると生活が困難になり、再購入費用は大きな負担です。家財の地震保険に加入していれば、建物損害がなくても家財損害のみで保険金請求が可能です。

税制優遇措置がある(地震保険料控除)

地震保険料は所得控除の対象で、所得税で最大5万円/年、住民税で最大2.5万円/年の控除が受けられます(参照先:No.1145 地震保険料控除|国税庁)。保険料負担を軽減できる仕組みを有効に活用しましょう。

地震保険の加入時の注意点

地震保険に加入する際は、メリットだけでなく注意点も理解しておくことが大切です。保険料の負担や補償範囲、査定基準、免責事項など、契約後に「こんなはずではなかった」と後悔しないために、事前に確認しておきたいポイントを整理しました。

保険料の負担

火災保険に地震保険をセットすると、保険料負担は増えます。火災保険の補償内容や地震保険金額を調整し、補償と保険料のバランスを考えることが重要です。

全額補償ではない

地震保険の保険金額は最大でも火災保険金額の50%です。全損認定されても建物再築には十分とはいえません。地震保険は生活再建資金と認識し、不足する資金は貯金などで備えることが望ましいです。

査定基準に注意

地震保険の損害認定は「建物の主要構造部(基礎、柱、外壁、屋根など)」の損害割合で判断されます。門や塀、カーポート、内壁などは対象外です。このため、保険金が期待より少ないと感じる方もいます。正しい知識を持って契約することが大切です。

免責事項がある

地震保険には「免責事由」(保険金が支払われないケース)があります。

【例】

  • 地震発生の翌日から10日を経過した後に生じた損害
  • 地震時の紛失や盗難等

契約時に対象外となるケースを理解しておくことが望ましいです。

賃貸住宅で地震保険は必要?不要?

賃貸住宅に住んでいる場合、「地震保険は必要なの?」と迷う方も多いでしょう。建物は大家さんの所有物ですが、入居者にも守るべき財産があります。ここでは、賃貸住宅で地震保険が必要かどうか、その理由と注意点をわかりやすく解説します。

大家さんが加入しているなら地震保険は不要?

賃貸物件の場合、建物は大家さんの所有物なので、入居者が建物に地震保険をかける必要はありません(そもそも加入できません)。入居者が考えるべきは、自分の財産である「家財」に地震保険をかけるかどうかです。地震や地震が原因の火災で家財が損壊した場合、補償は火災保険ではなく地震保険から支払われます。賃貸物件は身軽に転居できますが、転居先でも家財は必要です。生活再建のため、家財の地震保険は検討する価値があります。

公的住宅や賃貸住宅における地震保険加入の注意点

地震保険は単独では加入できず、火災保険にセットする必要があります。賃貸借契約時に不動産会社やオーナーから提案された保険にそのまま加入してしまいがちですが、一般的な賃貸火災保険には地震保険が含まれていないことが多いため、注意が必要です。提案された保険に地震保険がない場合、地震保険付きプランがあるか確認し、なければ自分で火災保険を探す必要があります。

地震保険 選び方のポイント

地震保険は「加入するかどうか」だけでなく、「どのように選ぶか」が重要です。補償内容や保険料の設定、割引制度の活用など、選び方次第で安心度も負担額も大きく変わります。ここでは、後悔しないために押さえておきたいポイントをご紹介します。

補償内容の最適化

建物だけでなく、家財への地震保険も検討しましょう。家具や家電、貴重品の損害も生活再建に大きく影響します。

また、地震保険金額は火災保険金額の30~50%の範囲で設定できます。保険料とのバランスを考えて決定することが大切です。

割引制度を活用する

地震保険には以下の割引制度があります。

免震建築物割引 50%
耐震等級割引 10、30、50%(耐震等級に応じて)
耐震診断割引 10%
建築年割引 10%(1981年6月以降に建築)

割引は重複適用できません。特に「免震建築物割引」「耐震等級割引」が適用できるかで保険料が大きく変わります。確認には「設計住宅性能評価書」「建設住宅性能評価書」や、長期優良住宅の「認定通知書」などが有効です。保険料負担を軽減するため、割引制度を積極的に活用しましょう。

定期的な見直しを行う

ライフステージの変化に応じて、地震保険の必要性は変わります。

  • ローン残高の減少
  • 子どもの独立
  • 貯蓄額の増加
  • 建物の経年劣化

定期的に補償内容を見直し、過不足のない補償を維持することが大切です。

まとめ:地震保険は「安心を買う」保険

これまで解説してきたとおり、地震保険は、建物や家財などの財産の損害額を補償するものではなく、被災後の生活再建を目的とする、いわば「安心」のための保険です。この特性を理解した上で、補償内容と保険料のバランスを考え、加入を判断することが重要です。

日新火災の火災保険『お家ドクター火災保険Web』は、インターネットにて手続きを行っていただくネット完結型火災保険です。

ネット完結型だから地震保険の補償が手薄というわけではありません。代理店型の火災保険であってもネット完結型の火災保険であっても、地震保険については補償内容や保険料、割引制度などは同一の内容となっています。

なお、『お家ドクター火災保険Web』は、インターネットで完結する手続きとしているため、割安な火災保険料でご加入いただけます。

また、補償内容も特徴的で、火災保険の補償内容を自由にカスタマイズでき、必要な補償を選択して組み合わせることができます。

自分に必要な補償を選択することで火災保険料を安く抑えることが可能です。

地震保険の保険料負担が大きくて、加入を迷われている方は、一度『お家ドクター火災保険Web』をお見積りしてみてください。火災保険料を安く抑えて、地震保険の保険料に充てることができるため、地震リスクが心配な方にこそ、おすすめの火災保険です。

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監修者

木ノ内 翔平

保険メディア監修責任者

保険代理店のメディア制作部署でマネージャーを務め、10年にわたり保険に関するコンテンツ制作に携わってきました。
お客さまが「知りたい」と感じるポイントを意識し、わかりやすく丁寧にお伝えすることを心がけています。

所有資格
1級ファイナンシャル・プランニング技能士